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平成28年度税制改正で規制が入る「不動産投資に関する消費税還付」とは?

税制改正
(写真=PIXTA)

 平成28年の税制改正に伴い、「不動産投資に関する消費税還付」に規制が入ることをご存じでしょうか。これにより、不動産賃貸の経営者は「消費税の還付がしにくくなる」という影響が出てきます。ここでは、不動産の賃貸経営を行う上での消費税の扱いと還付の仕組みを踏まえながら、この税制改正の詳細な内容を確認します。

不動産投資における消費税の扱いと還付について

 消費税法において、不動産の家賃収入は非課税扱いとなっています。したがって、不動産賃貸の経営者は入居者から家賃の消費税を預かる必要はありません。

 一方、不動産の賃貸経営に伴う建物の購入費用(土地は非課税)や交通費などには消費税がかかります。こういった、事業に必要な消費税の課税対象となる支払いを「課税仕入れ」と言います。

 不動産賃貸の経営者は、アパートやマンションを購入時に建物に対する消費税を支払います。例えば3000万円の物件なら3000万円 × 8% = 240万円の消費税を購入時に支払います。課税売上高が1000万円を超えた経営者は、物件を購入した年にあえて消費税の課税事業者となることを選択し(消費税課税事業者選択届出書を提出する必要があります)、消費税の還付申告を行うことができます。

 ただし家賃収入には消費税がかからないので、経営者が家賃収入以外の消費税が課税される収入(課税売上といいます)を得ていることが条件です。

 また、支払った消費税のうち還付されるのは、課税売上割合(課税・非課税売上の合計に占める課税売上の割合)の分です。先ほどの例では、物件購入年の家賃収入が100万円、その他の課税収入が200万円であれば、還付額は240万円×200÷(100+200)=160万円となります。

 なお、この方法は免税事業者や、簡易課税(実際の消費税を計算することなく、課税売上に一定割合を乗じて控除税額の計算を行う)適用による申告の場合は使えません。この消費税還付の手法を使う不動産業者が多かったため、国としては歯止めをかけるべく、平成28年度の税制改正大綱で新たな制度を打ち出しました。

平成28年度税制改正大綱での不動産投資に関する消費税還付の影響

 平成28年度税制改正のなかで、不動産投資に関する消費税還付の影響がある規定は、「高額資産を取得した場合における消費税の中小事業者に対する特例措置の適用関係の見直し」の項目です。

 この規定には、消費税の課税事業者が平成28年4月1日以後に税抜1000万円以上の高額資産を購入・新築した場合、その後3年間は消費税の納付が免除される免税事業者の制度の対象外となること、また、消費税の計算が簡易な簡易課税への変更もできなくなる、という内容が記載されています。物件購入時に課税事業者になり消費税還付を受けたとしても、その後3年間は消費税上の優遇制度を受けられなくなります。

平成22年度税制改正との比較

 今回の税制改正による消費税還付の「封じ込め」と近いことが、平成22年度の税制改正でもありました。この時は、消費税課税事業者となってから「2年以内に」不動産を購入した場合は、その後3年間免税事業者や簡易課税に変更できなくなるという制度でした。

 しかし、この「2年以内に」という条件を外すために、課税事業者となってから2年間は何もせず3年後に不動産を購入すれば、消費税の還付は受けられました。こうした「抜け道」を、今回の平成28年税制改正では排除すべく、この「2年以内に」という縛りを撤廃しました。こうして、消費税の還付を完全に封じ込めようとしています。

まとめ

 不動産投資にかかる消費税還付についての税制改正の内容について解説しました。国としては、不動産賃貸の経営者が家賃収入非課税という優遇措置を受けていながら、さらに制度の「抜け道」を利用して、多額の還付を受けるという状況は望ましくないと考えて、今回の改正に至ったものと思われます。これから不動産経営を行う人は消費税の扱いをよく理解し、申告手続きは税理士などの専門家に相談して、慎重に手続きを行うようにしましょう。

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