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財産債務調書とは? 2015年度確定申告から義務付けられた新制度について

財産債務調書
(写真=PIXTA)

 2015年度の税制改正により、「財産債務調書」の提出制度が創設されました。この背景には、富裕層への課税強化対策という背景があります。この「財産債務調書の提出」という新しい制度は、どのようなものなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

従来の財産および債務明細書

 「財産債務調書」は、これまでは「財産及び債務明細書」という名称でした。財産の種類、数量、価額を記載するもので、所得が年間2000万円を超える人は確定申告書と合わせて提出する義務がありましたが、未提出でも特に罰則規定はありませんでした。

新しい財産債務調書の提出条件と記載内容

 新しい制度の「財産債務調書」では、従来の「財産及び債務明細書」よりも提出義務者の条件が変更されています。

 今回の改正で、以下のように条件が変更されました。

『所得税等の確定申告書を提出しなければならない方で、その年分の総所得金額及び山林所得金額の合計額が2000万円を超え、かつ、その年の12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の財産又はその価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産を有する』
※国税庁ホームページ「財産債務調書の提出義務」より

 具体的な財産の価額については、以下のように規定しています。

『財産の「価額」は、その年の12月31日における「時価」または時価に準ずるものとして「見積価額」によることとされています』
※税務署からのお知らせ(2015年6月)より

 (注)ここで言う「時価」とは、その年の12月31日における財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に、通常成立すると認められる価額のこと。専門家による鑑定評価額、金融商品取引所などの公表する同日の最終価格(同日の最終価格がない場合には、同日に最も近い日の最終価格)などを言います。また「見積価額」とは、財産の種類に応じ、それぞれの方法で算定した価額を言います。

 財産債務調書への記載事項は多少複雑になり、以下のように規定されています。

『財産債務調書には、提出者の氏名・住所(又は居所)に加え、財産の種類、数量、価額、所在並びに債務の金額等を記載することとされています(財産及び債務に関する事項については、「種類別」「用途別」(一般用及び事業用)、「所在別」に記載する必要があります)』
※税務署からのお知らせ(2015年6月)より

 (注)「事業用」とは、不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき事業または業務の用に供する財産債務を言い、「一般用」とは、当該事業または業務の用に供する以外の財産債務を言います。

 以下は、財産債務調書の書式です。

画像1

 財産債務調書の提出に当たっては、別途「財産債務調書合計表」を作成し、添付する必要があります。下記の記載例の右側が「財産債務調書合計表」です。

画像2

財産債務調書の過少申告加算税の特例

 新しい「財産債務調書」では、従来の「財産及び債務明細書」と異なり、過少申告加算税の特例が明文化されました。具体的には、「国外送金等調書法」に以下の2つを規定しています。

①過少申告加算税等の軽減措置(国外送金等調書法6①、6の3①)
 財産債務調書を提出期限内に提出した場合には、調書に記載がある財産債務(注)に関する所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」といいます)又は相続税の申告漏れが生じたときであっても、その部分の過少申告加算税等が5%軽減されます。

 (注)財産債務調書への記載を要しないこととされる、国外財産調書に記載される国外財産を除きます。ただし、この国外財産については、国外財産調書制度における過少申告加算税等の特例措置が適用されますのでご留意ください(以下②も同様)。

②過少申告加算税等の加重措置(国外送金等調書法6②、6の3②)
 財産債務調書の提出が提出期限内にない場合、又は提出期限内に提出された財産債務調書に記載すべき財産債務の記載がない場合(重要な事項の記載が不十分と認められる場合を含みます)に、その財産債務に関する所得税等の申告漏れ(死亡した方に係るものを除きます。)が生じたときは、その部分の過少申告加算税等が5%加重されます。

 (注)この加重措置は、相続税および亡くなられた方の所得税等についての適用はありません。

まとめ

 新しい財産債務調書では、提出条件は緩和されたものの、これまでなかった記載内容や罰則規定が定められました。提出条件に当てはまる人は、税務署に相談するか、税理士などの専門家に処理を依頼することをお勧めします。また、この財産債務調書の提出期限は翌年の3月15日となっていますので、ご注意ください。

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