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相続対策・資産承継の観点から考える不動産投資の有用性

相続対策
(写真=PIXTA)

 2015年1月より相続税法が改正され、厳しい内容になったのはご存知でしょうか。基礎控除額が4割引き下げられたため、今までは相続税と無縁だった人も、今後は相続税を支払う可能性が出てきました。そのため、不動産を活用した相続対策や資産承継対策の重要性がさらに増しています。そこで、相続対策・資産承継の観点から考える不動産投資の有用性について解説します。

相続税の仕組み

 まず、相続税の基本的な仕組みですが、相続税は被相続人が保有している資産の評価額に対して課税されます。最も分かりやすいのは現金で、1億円を持っていたら、その評価額はそのまま1億円となります。

 一方、不動産は、実際に売却しないとその資産価値がいくらなのかが分かりません。相続の度に売却して正確な資産価値を出すのは不可能なため、不動産の場合は一定のルールに基づいて、資産の価値を「評価」します。

不動産の「評価」とは

 不動産の「評価」は、土地と建物に分かれています。土地については、国税庁が毎年7月上旬に発表する相続税路線価を使います。土地の時価を算出するのは難しいため、土地の前の道路に割り振られた相続税路線価に土地面積を掛けて評価額とすることになっています。

 この路線価ですが、基本的には市場価格の80%の水準と言われています。そのため、仮に1億円を土地で保有していれば、相続の際に課税対象となる資産評価額は8000万円に下げることが可能となるのです。

 建物の評価は、毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に記載された固定資産税評価額が、そのまま相続税評価額になります。この固定資産税評価額は、新築当初だと建築工事費の50~60%程度の水準で評価されます。

 ただしこの固定資産税評価額は、固定資産税を徴収するための意図的な評価額のため、築年数が経ってもそれほど下がりません。例えば、築20年以上の戸建住宅の市場価格がほぼ0円であるのに対し評価額にはある程度の値段がついており、市場価格と評価額の間で逆転現象が生じてしまいます。ですから、節税効果が高いのは新築の時期で築年数が古くなるにつれて、節税効果は無くなると言えるでしょう。

さらに評価額を下げる方法は?

 ここまでは、単純に現金が不動産に変わると評価額が下がるという話でしたが、不動産は活用方法次第でさらに評価額を下げることが可能です。それは不動産を賃貸物件にすることです。商業施設やオフィス、アパート、マンションなどを賃貸物件として貸し出すのです。

 通常、賃貸借契約が締結されると、借家人を立ち退かせるには「正当事由」という理由が必要になります。賃貸物件を更地にして処分しようとすると、立退料などの余分な費用が発生することになります。そのため、借家人がいる物件といない物件では、同じ賃貸物件であっても立退料が発生する分だけ価値が下がるというのが基本的な考え方です。相続税の評価もこのような考え方を踏襲しているため、賃貸物件の評価額は低くなります。

節税にもなり、収入も増える

 相続税対策として資産の評価額を下げることができるだけでなく、不動産オーナーには、賃貸物件からの賃料収入が入るため、不動産投資には実質的なメリットがあると言えます。例えばアパートを建築すると、建物には30%減の借家権割合(注1)による評価減が発生します。また、土地については「貸家建付地評価減」というものが適用されます。これは、アパートを建てることによりその土地は使用が制限され、自由に売ったりすることができなくなるため、更地の時よりも土地の評価を下げるという制度です。

 貸家建付地評価減は
 「路線価 × (1-借地権割合(注2)×借家権割合)」
という式で算出されます。

 注1)借家権割合とは、賃貸物件で通常の家屋の評価額に対する貸家の評価額の割合のことをいいます。
 注2)借地権割合とは、土地の権利が借地権の場合に、更地の時価に対する借地権の価額の割合のことをいいます。

 借家権割合は全国一律で30%ですが、借地権割合は前面道路に個別に割り振られています。仮に借地権割合が70%のところであれば、上記の計算式に基づき、
 (1-0.7×0.3)=0.79
となるため、評価額を2割程度下げることができます。

 また、借入金を用いてアパートやマンションなどの集合住宅を建築すると、賃貸物件として下がった評価額からさらに借入金をマイナスすることが可能です。こうしたことから相続税対策として賃貸経営が広く行われてきたのです。

まとめ

 このように相続対策、資産承継時の節税の観点からは、不動産で資産を保有することはとても有効です。現金での保有に対し、土地の保有とした場合の課税対象の評価額はおよそ8割、また賃貸用の不動産とした場合、さらに評価額を2割程度下げることができるのです。相続の問題は誰も避けて通れません。今は大丈夫でも、いずれそのような瞬間はやってきます。大切な資産を効率良く子どもや孫に残すことができるのは、周到に準備した人たちだけなのです。

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